小説  

 

 
       第6話1

霧島
戦記

 第7話1  TOP

時計は2650年6/02午前3:00を示している。
開戦から12時間がたった。
上陸作戦からは3時間だろうか。
この早い時間にもかかわらず首長達も続々と到着している。ローランド島首領を除いて。
今日の11:00にはシルフさんが国民に向けこの事態を説明するはずである。
恐らくあの爆発は事故だろう。
現在の状況ではあの位置に攻撃を加えられる手段はない。
だがテレジア軍はまるで事故のことを予想していたように上陸作戦を開始している。
テレジアとは海を挟んで300カイリは離れているしこのタイミングでの攻撃はあらかじめ準備していたとしか思えない。
それに国内の5箇所の原子炉換装は機密情報でその場所、時間などは一部の者しか知ることはできない。
だがもはやその真相は調べられないだろう。
テレジアはすでにローランド島をその手に完全に掴んだのだろうから。
「ローランド島を通信を確保。」
久々のいいニュースだ。
「・・れ・・てく・・!現在・・・せんと・・・・支援・・せいする・・・」
ノイズだらけの音。
それに混じって砲撃音と銃撃音が聞こえる。
その音に鳥肌が立ち、再び熱いものを与えてくれた。
彼らはまだ全滅してはいなかったのだ。
「こちら霧島防衛センター責任者のヴィンセント大佐だ。現在の状況を知らせよ」
「やっと・・た。こち・・島統合防衛センター司令・・・ら少佐。現在ケープコッド空軍基地より指揮を・・ている。ロ
ーランド港より上陸したテレジア軍は島の70%を占領し尚も・・・中。こちらの戦力は・・・30%ほどに低下・・。現在は共に逃れてきた市民と輸送機での・・出を計画するも封鎖網があり。・・できない。」
「既に6機のT-20戦闘機<飛燕>と第3艦隊がそちらに向かっている。彼らの援護で上空に脱出し本島クロスポート飛行場
へ向かえ。支援開始予測時刻は・・」
私が振り返ると一人のオペレーターが一枚の紙を渡してくれた。
「航空支援は午前4:00、第3艦隊の支援は午前5:00だ。まずはそれまで飛行場の安全を確保せよ。幸運を!」
「りょう・・い。支援に・・しゃする!」
長く、寡黙だった時間が再び流れ出すようだった。
私はチャンネルを切り替えると第3艦隊旗艦の艦長をしているはずの姉に無線をつなぐ
「霧島防衛センターより第3艦隊。応答せよ。」
直ぐに聞きなれた声が返ってきた。
「第3艦隊司令ヴィンセント艦長。」
「状況を報告せよ」
「当艦隊は順調に全力で航海中。天気は晴れ、とても気持ちが良いわよ。」
「了解。新しく入った情報を送る。引き続き任務に当たれ。支援開始10分前に連絡せよ。彼らを護ってやってくれ」
「じゃぁまだがんばってるのね?了解。必ず成功させるわ。」
無線を閉じると航空部隊にも目標の情報を伝える。
気のいい彼らは冗談を飛ばして必ず連れ帰るといった。
私に出来ることはこれだけしかない。
武器を持って戦えないのが歯がゆかった。