小説  

 

 
       第9話

霧島
戦記

 第10話

 TOP

2650年 6/1 11:45 フロスト空運中継地兼別荘

「早くしろよっ」
先ほどから聞こえる轟音のせいで野次馬根性がいきり立っている。
オレはフロストのPET-10の後部席に座り、いまだ外であくびしているレイに怒鳴った。
「うるさいわねー・・・そんなに急ぐと怪我するわよっ」
「そうそう。準備はしっかりしておかねぇとな。な?ナガセ。」
「失礼ね。あれ以外は積み忘れてないわ。」
「・・・・クラーク。周波数ずれてる。117.0。116.0じゃない。」
「ほほ・・・。歳をとると目がよわぁなってのぅ・・」
・・・・なんとも平和である。
今から戦場に突っ込むっていうのになんとのんきな・・
「さぁて・・・」
全員がシートについたことを確認してフロストが声をかけた。
「積み残しはねぇな?じゃぁいくぜ。」
その声を聞き、ハンディビデオカメラを持った手に力が入る。
うるさいタービン音が頭を揺らしながら俺たちを乗せたPET-10は戦場へと羽ばたいた。